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肝臓・胆道・膵臓治療

外来診療内容

当院は急性期病院として光生会グループの一翼を担っています。
外科の金子院長の専門は消化器外科で、中でも肝臓、胆道(胆嚢、胆管)、膵臓外科を得意としています。
胃癌大腸癌などの消化管の癌に対する手術も施行しています。
また最近増加傾向にある乳癌に対する手術も施行しています。
当院の特長は先端画像センター、消化器内視鏡センターを有し癌検診に力をいれていることです。
それに伴い、発見された消化器癌に対し適切な治療を提供しております。
日本は高齢化が進み人口の約1/3の方が癌に罹患し死亡すると報告されています。
癌治療の中心は外科治療を中心に抗がん剤治療、放射線治療があり、これらを組み合わせ治療していきます。
当院では前2者を中心に治療しています。特に癌の外科治療においては合併症のない、患者さんのQOL(quality of life;生活の質)の向上を目指した、新しいコンセプトに基づいた治療を目指しています。

金子 哲也院長

金子 哲也院長

また、低侵襲な治療として定着した、胆石症に対する腹腔鏡下手術も施行しています。さらに鼠径ヘルニア(脱腸)の手術なども施行しています。
しかしながら、癌診療に限らず、医療でもっとも重要なことは医療従事者と患者さんの信頼関係でしょう。この一言でいえば当然のことが希薄になっているのが現在の医療事情の憂慮すべき点です。
医療従事者としては道元禅師の教えである”自未得度先度侘(自ら未だ度すことを得ざれども先ず侘を度せ)(自分は救われなくとも他人を救え)の気持ちで診療に従事することです。
では順に疾患別に説明させていただきます。

1:肝臓癌

肝臓癌は原発性肝癌(肝臓に最初にできる肝癌)と転移性肝癌(胃癌や大腸癌など他臓器にできた癌が肝臓に転移してできた肝臓癌)に分けられます。頻度的には後者が圧倒的に多く前者の約20倍の頻度といわれています。しかし、外科治療の対象としての頻度としては同じくらいです。理由は転移性肝癌をきたす原発癌はほか(腹膜とかリンパ節とか)にも転移しており肝臓だけが治療のターゲットとなることが少ないからです。
原発性肝癌は原発性肝細胞癌(HCC)と胆管細胞癌(CCC)とに分けられます。この2つではHCCがCCCの約20倍多いと報告されています。今回はHCCの治療を中心に解説させていただきます。
HCCは約95%が肝炎ウイルスに感染しておりC型肝炎ウイルスが約80%、B型肝炎ウイルスが約15%です。C型慢性肝炎は緩やかに進行し20-25年で5-20%が肝硬変に至りますが、アルコールの摂取量などは線維化を促進することが知られており、個人差があります。C型の場合、肝硬変に至ると肝癌は年率5-7%と報告されています。
一方、B型肝炎ウイルスに感染した肝硬変からの肝癌発生率は年率2.5-3%と報告されています。しかしC型に比しB型肝炎ウイルスに感染した場合、肝硬変になる前(慢性肝炎の状態)に肝癌が発生する率が高く、特に若年では軽度の線維化で肝細胞癌ができる場合、B型肝炎ウイルスに感染している場合が大半です。
HCCの治療に関しては、1:肝切除 2:内科的局所療法(ablation)(経皮的エタノール局注療法 PEIT,経皮的マイクロ波凝固療法 PMCT,ラジオ波焼灼療法 RFA)3:TAE(経カテーテル肝動脈塞栓術)4:肝動注化学療法 5:肝移植があります。基本的には肝機能、腫瘍の大きさ、数、進行度(脈管浸潤、遠隔転移)などでそれぞれ選択されますが、施設間による得意分野にも依存します。詳細は肝臓学会より出版されている”肝癌診療マニュアル”をご参照ください。目安としては肝機能が良好で大きい、単発の腫瘍(3cm以上)は肝切除が望ましいとされていますので、十分な経験のある外科医であれば問題なく施行可能です。腫瘍径が3cm以下で3個以下の場合は侵襲の少ない内科的局所療法が選択されることが多いです。特にRFAが中心になってきています。肝機能が悪い場合や、腫瘍が多い場合はTAE,肝動注化学療法が施行されます。肝移植は究極の肝癌治療ですが国内では一般的ではなく限られた施設で施行されています。当院でもHCC治療を患者さんの病態に応じ施行していきますので、ご相談ください。

2:膵臓癌

膵臓癌は外分泌腫瘍と内分泌腫瘍に分けられます。通常”膵癌”といわれるものの多くは”膵管癌”で、その大半は浸潤性膵管癌です。その他、膵管内に限局し粘液貯留し膵管拡張をきたす”膵管内乳頭粘液性腫瘍”とよばれるものや、中年女性に多いとされる”粘液性嚢胞腫瘍”や”漿液性嚢胞腫瘍”があります。
まずここでは、圧倒的に頻度の高い”膵管癌”につき述べさせていただきます。
膵管癌(いわゆる通常の膵癌)は近年増加傾向にあり、日本人男性の癌死の第4位、女性の第5位です。HCCと異なり明らかな原因は不明で、いわゆる高危険群(膵癌になりやすい人)の設定ができません。CT, 超音波などの画像診断や各種腫瘍マーカーの進歩で診断率は飛躍的に進歩しましたが、早期診断には至っておらず、治療成績の改善には寄与していません。膵管癌の大半はいまだ進行癌で発見されています。
膵管癌では膵癌登録調査結果では浸潤性膵管癌の切除例の5年生存率は13.1%ですが、初期段階のStage Iは5年生存率は61%と良好ですが膵癌全体の2.9%にすぎません。逆に進行段階であるStage IVの5年生存率は8%にすぎませんが、膵癌全体では80%を占めています。即ち、膵癌では早期発見が非常に重要であることが分かります。 また、膵癌の約70%は膵頭部にでき、膵頭十二指腸切除術という手術が施行されます。消化器外科手術の中では高度な手技を要し特に、膵空腸吻合は縫合不全をきたすと重篤な合併症をきたすことがあります。またさまざまなドレーンやチューブが術後に挿入され、患者さんの侵襲は非常に大きくなります。当院では、術後の経口摂取が早期から可能で縫合不全もほとんど起さない吻合法で手術を施行しています。またドレーンも少なく、早期に抜去でき、患者さんの負担も少なく、回復も早く、術後2週間での退院が可能です。また当院では先端画像(PET)センターがあり、膵癌ではPETの取り込みが多く、早期発見に期待がもてます。ちなみにPETでの癌診断は臓器により特異性があり、大腸癌、肺癌、乳癌、膵癌はよく取り込まれ、癌検診としても有効と考えられます。症例数は少ないですが自験例では胆嚢癌も有効と思われます。しかしながら、胃癌にはあまり有効とは思われません。PETの有効利用で膵癌の早期発見、治療につながり治療成績の改善ができればと考えています。

3:胆石症

胆石症は胆嚢に結石を有する状態をさします。無症状の胆石を含めると、人口の10-15%に存在すると報告されています。人間ドックなどで初めて胆石を指摘される方も多いと思います。原因はさまざまですが最近はコレステロール結石が増えています。基本的には無症状の場合は手術の適応はありません。疼痛発作のある場合や胆嚢炎で熱がでるような場合は手術適応があります。手術は基本的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行いたします。この手術は全身麻酔下に4箇所小さな穴を開け、腹腔鏡下に胆嚢摘出術を施行します。低侵襲手術で通常術後3日程度で退院可能です。この術式は胆石症に対してはほぼ確立された方法ですが、炎症が非常に強い場合や出血のコントロールが困難な例では開腹下の胆嚢摘出術に移行するか、最初から開腹下で胆嚢摘出術を施行いたします。
総胆管結石が存在する場合は、内視鏡的に総胆管結石を摘出したのち、胆石症に対し、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行いたします。内視鏡的な切石(石を摘出すること)が困難な場合、開腹下で胆嚢摘出術と総胆管切石術を施行いたします。総胆管切開後は1次閉鎖し、入院期間の短縮を図っています。以前はTチューブを挿入し、術後入院期間も1ヶ月ちかく要しましたが、この方法ですと約10日前後の入院ですみます。

4:胆嚢癌

胆嚢癌は高率に胆石症を合併します。通常、胆石症の1-2%に胆嚢癌が合併しますが、60歳以上の女性では7-10%に増加すると報告されています。男女比は1:4で女性に多く、一言で言えば”お婆さん”に多い病気といえます。また、膵管胆道合流異常症(膵臓の管と胆管は通常、ファーター乳頭部で合流しますが、それがその外側で合流する異常)では高率に(胆管拡張を伴わない例では50%以上)胆嚢癌が合併します。また、検診などで胆嚢ポリープを指摘されることがありますが、15mm以上では胆嚢癌の可能性が50%以上ありますので、手術を受けられたほうが良いでしょう。
胆嚢癌は進達度(癌の胆嚢壁への浸潤の深さ)で予後が異なります。胆道外科研究会の報告では5年生存率はStage I(粘膜に留まる、早期) 66%、Stage II(漿膜まで、中期)14%、Satge III(漿膜露出、進行期)10%、Stage IV(肝臓浸潤、かなり進行)8%と報告されています。手術は進行度にあわせた手術が施行されます。Stage Iであれば胆嚢摘出術のみで80%以上の5年生存率が期待できますが、Stage IVでは拡大右肝臓切除+膵頭十二指腸切除術といった究極的な拡大切除を施行しても10%以下の5年生存率であり(もちろんこのような手術では合併症も多く施設で異なりますが10%前後の術死率(手術後30日以内の死亡率)でありその適応は慎重でなくてはいけません。当院では2例のStage IIの胆嚢癌に対し拡大胆嚢摘出術を施行しており、ご健在です。
また、いまだ症例数は少なく、断定はできませんが、胆嚢癌ではPETの集積が強いと思われ、2名とも無症状でPET検診で胆嚢癌が発見されています。

5:胆管癌

胆管癌は肝外胆管の部位により上部、中部、下部胆管癌に分けられます。発生頻度が高い病態としては膵管胆道合流異常症があり、約5%に胆管癌を合併すると報告されていますが、膵胆管合流異常症がなくとも胆管癌は発生するため、明らかな原因は不明です。
症状としては黄疸で発見されることが多いです。最近ではMRIなどで非侵襲的に胆管像が得られるため(MRCPといいます)黄疸がでる前に発見される例もありますが、全体的には少数で大半は進行癌で発見されます。通常、黄疸を軽減するため、内視鏡的に胆管にチューブを挿入しますが、これが困難な場合は体外より肝臓を経由して胆管にチューブを挿入します(経皮経肝的胆管ドレナージ、PTBDといいます)。根治的には手術療法ですが、手術不能例ではこのようなチューブを挿入した状態で放射線療法や抗がん剤治療を施行しますが、長期生存は望めません(大半が1年以内に死亡されます)。
手術療法は胆管癌の発生部位により異なります。中下部胆管癌では膵頭十二指腸切除術が施行されます。上部胆管癌では尾状葉を含めた肝切除が進行度に応じ施行されますが、施設により治療方針が異なる場合もあり、十分納得の上、手術を受けられるのが望ましいと考えれます。納得できない場合はセカンドオピニオンで他施設の意見も聞いてみるといいでしょう。特に上部胆管癌の場合、大量肝切除を要し、以前は術後肝不全(黄疸がでて腹水がたまる状態)に陥り、術後不幸な経過をとることも少なくありませんでしたが、最近では切除側の門脈を塞栓し、残す側の肝臓を肥大させる方法(門脈塞栓術)により術後肝不全の発生率はかなり減りました。しかし、どの程度の進行癌まで切除するかはまだ一定の基準はありません。血管浸潤に関しては門脈浸潤に対しては積極的な切除により予後の改善が期待できますが、動脈浸潤に関しては積極的な切除をしても予後の改善は期待できないという報告がなされています。いずれにしろ、患者さんの負担(手術侵襲)は非常に大きくなりますし、手術自体のリスクも高いので専門医とよく相談の上、治療方針をきめるのが望ましいと考えます。