下肢静脈瘤外来

  • 下肢静脈瘤とは?

 下肢静脈瘤とは、足の静脈が浮き出ている状態を言い、静脈に存在する弁が壊れ、逆流した血液が脚にたまるために起こります。はじめのうちは静脈が太くなり、目立つだけですが、ひどくなると脚がむくむ、重く感じる、疲れやすい、寝ている時に足がつるなどの症状が出現します。さらに進行すると、皮膚が茶色に変色したり、湿疹や皮膚炎、潰瘍などがおこります。

静脈瘤は「伏在型」、「側枝型」、「網目状」、「クモの巣状」に分類され、それぞれ治療法が異なります。静脈瘤種類と治療法

 下肢静脈瘤は良性の病気ですが、放っておいても自然に治るものではないため外見が気になる、脚の症状があって困っている・辛いなど、日常生活に支障を感じたら、まずは専門医の診療を受けてみてください。

 

  • 静脈瘤になりやすい方

下肢静脈瘤は長時間の立ち仕事に従事する人にも多く見られます。さらに、遺伝性もあるため、親兄弟に“静脈瘤”の方がいる場合も要注意です。また妊娠や出産をキッカケにしてできることもあります。

 

  • 下肢静脈瘤のおもな治療法(表1)
  1. 保存的治療;生活習慣の改善、弾性ストッキングの使用にて症状の改善、進行を防ぐ
  2. 硬化療法;注射で静脈内に直接硬化剤を投与する治療法
  3. 手術療法;高位結紮術、ストリッピング術。高位結紮術は局所麻酔でできますが、再発が多いです。ストリッピング術は、静脈を抜き去る時に強い痛みがあるので、全身麻酔もしくは下半身の麻酔にて行われます。このため、3日から1週間程度の入院が必要となることが多いです。また出血や皮下出血、傷の化膿、痺れ(神経障害)などのリスクが多く、術後の傷も血管内治療とと比べて大きいです。
  • 血管内治療;従来は、上述のストリッピング手術が行われていましたが、2011年度から血管内焼却術が保険で実施できるようになりました。これは静脈の中にカテーテルという管状のものを通して、レーザーもしくは高周波をあてることにより、血管内部から血管壁を焼いて、その血管をふさぐ手術です。レーザーもしくは高周波で焼いた静脈には血栓が形成され、その後、縮み、体組織に吸収され消えていきます。血管内焼灼術はレーザーやラジオ波のカテーテルを挿入する部位に小さな傷(2,3mm程度)で施行でき、さらに局所麻酔と静脈麻酔で行うため、当日に帰宅することが可能です。このように、血管内焼却術は体に負担をかけず行えるのが最大の特徴です。光生会病院ではレーザーを用いたの血管内焼灼術を行っています。現在、日本で承認されているレーザー機器は世界でも最新鋭の世代であり、良い治療成績が期待できるため、下肢静脈瘤の標準的な治療法となっています。ただし、現在のところ血管内焼灼術を行うことのできる血管は限られているため、他の治療法との組み合わせが必要となることがあります。血管内治療(レーザーを用いた下肢静脈瘤血管内焼却術)は薬事認可されたレーザーがある、レーザー治療の専門医がいる、機構に認定された施設である病院でのみ保険診療で行うことができます。光生会病院は保険適応で行うことが可能な施設ですので、ご相談ください。

 

表1;下肢静脈瘤に対する治療法の比較

治療法

保険

治療費

静脈瘤のタイプ

保存的治療

3000〜5000円

軽症例、術後の再発予防

硬化療法

約5000円

くもの巣状、網目状、側枝型

手術療法

約4万円

伏在型

血管内治療

約5万円

伏在型

 

治療法

麻酔

入院

手術療法

全身または下半身の麻酔

3日から1週間

血管内治療

局所(+静脈麻酔)

×(日帰り)

ほとんど無し

※片足の手術にかかるご費用です。※費用は3割負担の方で、あくまでも概算です。患者さんの基礎疾患・病状・合併症や検査内容などにより、金額に差が生じることがあります。

 

  • レーザー治療後

 

  1. 治療部の痛み

 術後、少し経過したのちに出現し、酷い時は1ヶ月程度続くこともあります。痛みのほか、圧痛やつっぱり感、違和感などもあります。そのほとんどが経口鎮痛剤で改善します。

  1. 治療部の皮下出血

 手術直後から起こり、3週間程度で改善します。一度広がってから消失することもあります。

  1. 深部静脈血栓症

 E—HITとも呼ばれ、静脈内皮の損傷により、レーザー治療部と深部静脈との間に血栓が形成されます。通常の深部静脈血栓とは異なり、小さく、深部静脈の血流が保たれているため、進展することは稀で、通常は1ヶ月程度で消失します。また有症性の肺血栓塞栓症を起こすことも稀ですが、抗凝固剤など薬剤の追加や入院、手術が必要となることがあります。

  1. 神経障害

 治療する静脈周囲には神経が存在しており、手術と同様に神経障害が起こることがあります。ふくらはぎやくるぶし辺りの感覚が鈍くなりますが、通常は1年程度で改善、もしくは気にならなくなります。運動や日常生活に支障がでることはありません。

  1. 皮膚熱傷

 治療する静脈が浅い場合は、静脈の近傍に麻酔薬を入れることで皮膚との距離をとり、熱傷を起こさないようにしますが、稀に色素沈着やひきつれが起こることがあります。

  1. 動静脈瘻

 術後1週程度で発見され、血管内治療や手術が必要となることがあります。

  1. 静脈瘤の残存

 伏在型静脈瘤は伏在静脈本幹を治療することで、約60〜70%は下腿の分枝静脈瘤治療が必要ないと報告されていますが、状況により治療を追加する(瘤切除など)ことがあります。

  1. そのほかの合併症

 血腫、血栓性静脈炎、大腿部感覚障害、蜂窩織炎、リンパ漏などがあります。

 担当医:橋本 毅医師  診察日:木曜 午後

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